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モー娘。のオタクだけど奥田民生っていいな

1 :ツルムー民:02/03/29 22:16 ID:0l/CWVgv
もっと売れねえかなあ

2 :名無娘。。。:02/04/02 06:41 ID:fck2rxnV
2ずざっ
(イマゴロ)

3 :名無し娘。:02/04/02 10:33 ID:uLiBIMFW
ここ頂戴。
しばらくしたら何か書くからさ。
>>1禿同だしさ。

4 :名無し募集中。。。:02/04/02 20:51 ID:lWUVZ7r3
何書くの〜?

(●´ー`●)<がんばるべさ


5 :三田二郎:02/04/03 00:42 ID:I79yiqH7
アルバムいつでんのかなー
あ、民生のね。

6 :名無し娘。:02/04/03 03:01 ID:1+k5fNFZ
>>4
頑張るよ、(●´ー`●)なっちありがとう
まぁ、そんな大袈裟なもんでもないけどね。元々パクリだし。
ただ、やるからには大胆にパクる。これ最強。
邪魔になんない程度に。出来ればsageで。ではすたーと。


7 :名無し娘。:02/04/03 03:02 ID:1+k5fNFZ
第一話

『空回りI miss you』

8 :名無し娘。:02/04/03 03:03 ID:1+k5fNFZ

大きい家ってゆうのは寂しい。
お母さんとか、ユウキとかは喜んでたみたいだったけど。
リビングが広ければ広いだけ、一人で見るテレビが味気なくなる。

家に一人でいる、ってのは好きじゃない。
だけど、こんな仕事してたら友達を気軽に呼んだり出来ない。
だからあたしは一人きり。
急な休みはしょうがない。

どうせ誰か帰って来たって、部屋入っちゃってそれっきり。
皆広い部屋欲しがってたもんね。良かったね。



9 :名無し娘。:02/04/03 03:03 ID:1+k5fNFZ
何だか切ないな。
あたしは自分の部屋に戻る事にした。
一人だけなら、どこにいたって一緒だから。

ドアを開けた瞬間、何か不自然なものを感じた。何だろ?
ベッドの上で、青いシーツが不自然に盛りあがっていた。あれ?
ドアを閉めると同時に、シーツが跳ねあがった。って誰!?ユウキ?

「毎度!助けにきたでぇ!」
「ちょ、ちょっと何?誰?」

女の人の声?ユウキのイタズラじゃない、ていうかどうやって入ったんだろ…?

「ウチはな、二十二世紀から来た酔いどれ型お化け、『Uえもん』や!どないやねん!」



10 :名無し娘。:02/04/03 03:06 ID:1+k5fNFZ
聞き慣れた関西弁。
裕ちゃんはシーツを被ったまま立ち上がった。
よーく見ると穴が開いていて、そこから手と顔が出ている…
いやいや、出ている…じゃなくてさ。

「いや〜自分遅いわ。ずっと同じ態勢やったから腰痛いし。」
「ていうか、何してんの裕ちゃん…しかもあたしのシーツ…気に入ってたのに…。」
「裕ちゃんちゃうわ!ゆ・う・え・も・ん!あんまりアレやったら裕ちゃん怒るで!」
「いや、自分で言っちゃってるし…。」
「しっかし、えらいええ匂いやな。自分のベッド。」

そう言ってにやにや笑う顔。
まるで変態みたいだった。言えなかったけど。
ところで何ごっこなんだろう?



11 :名無し娘。:02/04/03 03:07 ID:1+k5fNFZ
くつろぐつもりだろうか。裕ちゃんはベッドに腰を下ろした。
シーツをすっぽり被ったその姿は冷静に見るとかなりおかしかった。
楽しくなってきたあたしはちょっとだけ付き合ってあげる事にした。
そう言えば、裕ちゃんとゆっくりするのって初めてかも。

「あはは…。」
「何や、楽しそうやな家主。何のお構いもせんと。」
「じゃあ、何か持ってくるね。おやつでいいかな?」
「ああ…何でもええでぇ…ただしバナナだけはあかん!」

余りの語気の鋭さにちょっとビックリした。
いきなり大声をだしたせいか、裕ちゃんは肩で息をしている。
顔も真っ青だ…てナンで?

「何やその面ぁ、自分さてはバナナ持ってこようとしたやろ!?正座せぇ!」



12 :名無し娘。:02/04/03 03:08 ID:1+k5fNFZ
そんな事はないんだけど。
何故か正座させられることになった。
理不尽にも程があるけど、リーダーだった頃からそんなトコもあったし。
気付かれないように座布団を下に敷いといた。
裕ちゃんはまだフーフー言ってる。猫みたいだ。

「バナナはあかんて、バナナだけはあかんて…。」
「いや、バナナ持ってくるなんて言ってないじゃん。そもそも。」
「何や自分、バナナバナナ言うなや!」

連呼しているのは自分の方だったけど。
涙目になってる裕ちゃんが何かかわいかったんで、慰めてあげることにした。

「そんな怒んないでよ。バ……駄目なんだよね。」
「そやねん…バナナだけはな…。あんな事さえなけりゃ…。」



13 :名無し娘。:02/04/03 03:08 ID:1+k5fNFZ
そう言うと裕ちゃんは顔を伏せた。真剣なカオ。
何かあったのかな。ただ嫌いなだけだと思ってた。ちょっと興味を惹かれた。

「もし良かったら聞かせてよ。何があったの?」
「ウチがな…あれは確か高二の春やった…部室でな…っと、これ以上は…。」
「いや、まだ何にもわかんないし。」
「恥ずかしいねんて…。誰にも言わんといてな…。」

色っぽい声。裕ちゃんの顔が赤くなった。
心なしか眼も潤んできてるように見える。
あたしは正座したまま、座布団ごと滑るようにしてにじり寄った。どきどきした。

「突っ込まれたわけや…口にな…。」
「な、何を?」
「バナナをや。」
「バ…ナナ…誰に?」
「ちゅうか、棒状の物を。」
「いや、どっち?それってかなり重要だと思うんだけど!?」



14 :名無し娘。:02/04/03 03:10 ID:1+k5fNFZ
裕ちゃんは答えてくれずに、にやっと笑ってあたしの顎を撫でた。
撫でられたあたしは、誰だってそうだと思うんだけど、むかついた。
というか、ホント何なの?あたしをおちょくりに来たの?

「なあ、灰皿あるか?」
「無いよ…。」
「なんでちょっとキレてんねん、あ、この空き缶つかわしてもらうで。」

人の気も知らないで。
大体、人ん家でその態度は何?まるで自分の家……あれ?

「そういえば、どっから入ってきたのさ?」
「それは…言われへんな…お前の為にもな。」
「…ってゆうかさっきからずいぶん意味深なんだけどさ、何しに来たの?」

煙草に火を点けようとした裕ちゃんは、そのままの格好で五秒程硬直した。
やがて、息を深く吸い込むようにして、更にそれを吐き出した。
そして、息を深く吸い込むようにして…

「いや、答えてよ。息とかいいからさ。」
「あぁ、うちはな、お前を助けに来たんや。正確にはな。」
「正確には…?使い方おかしくないソレ?」
「忘れとった。ほしたら、早速助けんとあかんな。」



15 :名無し娘。:02/04/03 03:10 ID:1+k5fNFZ
さっきから全く質問に答えてもらってない気がする。
裕ちゃんは何か頷くと、口に煙草をぶらぶらさせながら立ち上がった。

「ちょっと何?何すんの?ていうかあたし助けなんて頼んでないよ?」
「広い意味で言えばな、お前を助ける事により、裕ちゃんが助かんねん。」
「ところで、助けるって何?あたし別にピンチでもないしさ、悩みだって…」
「何やて!?自分!なめてんのか!?」

怒鳴られても、実際助けがいる状況じゃないし。
強いてあげれば今この状況がピンチかも。何か怒られてるし。

「なめてないけど…でも、何でそんな怒んのさ?」
「お前なぁ、お前ちゃうわ、お前の心がピンチやねん!!」

安いセリフだったが、あたしの耳はジーンとした。
大声だったから…ってのもあるんだけど。

「お前の心が大ピンチやねん!!」
「言い直すんだ…。」
「待っとれ、いくでぇ…裕ちゃんレボリューション22!」



16 :名無し娘。:02/04/03 03:11 ID:1+k5fNFZ
裕ちゃんは叫ぶと同時に、両手を後ろに振りかぶった。
その瞬間、裕ちゃんの持ってたジッポが後ろに飛んだ。
火がついたままのジッポは、綺麗な放物線を描くとカーテンを直撃した。
まるで、映画のワンシーンみたいに、カーテンから鮮やかな炎が舞い上がった。

………消さなきゃ!

「何してんの!裕ちゃんのバカ!早く消さないと!!」
「あかん…あかんでぇ…。」
「ちょっと、広がってるって!駄目!」
「裕ちゃんの炎は…叩いた位じゃ消えへんでぇ!」
「ちょっと、何その手柄ヅラ!もういい、逃げないと!」







17 :名無し娘。:02/04/03 03:12 ID:1+k5fNFZ


翌日、スポーツ新聞の一面に「後藤真希御殿、全焼」の文字が踊った。
あたしは片っ端から読んで、片っ端からくしゃくしゃにしていった。
家の方は、どうやら保険がおりる事になったとかで、新しく建て直せるみたいだったが
当面は仮住まいという事で前の家に戻る事になった。

警察のヒトとかには、あたしが料理してて、その不始末って事にしておいた。
何でか知らないけど、あんまり怒られたりとか、詳しく聞かれたりとかしなかった。

ホントは、裕ちゃんに対して凄いむかついてたし、よっぽど訴えてやろうかと思ってたけど。

家具も全部運び出しちゃってがらんとしたリビング。
絨毯も敷いてない床はごつごつしちゃって座りづらかったけど
部屋の隅に直に置いたテレビをユウキと二人で見ながら
一緒に笑ったり、指差したり、
お母さんが加わったり、
してるうちに、
何かね。

「真希、バナナ貰ってきたけど、食べる?」

もう来ないのかな。

あたしは、山積みのバナナを見ながら、逃げ回る裕ちゃんを想像してちょっとぞくぞくした。






18 :名無し娘。:02/04/03 03:13 ID:1+k5fNFZ
…とまぁ、こんな調子です。

19 :名無し募集中。。。:02/04/03 22:12 ID:PS+sQZyc
なかなかおもしろいよ〜ん。

(●´ー`●)<元ネタしりたいっしょ!
終わってからでもいいけどね〜

20 :ナナシムスメ。:02/04/04 08:12 ID:PXAl63eq
>>19
早速のレス。(●´ー`●)なっち読んでくれてありがとう
元ネタというか、色んなとこからのパクリって事です。

今夜続き行くよ、多分。

21 :ナナシムスメ。:02/04/05 01:39 ID:INpbH1x/
第二話

『あの夜のお相手は』



22 :ナナシムスメ。:02/04/05 01:40 ID:INpbH1x/

なっちは孤独だ。

ドラマの撮影現場で時々耳にするヒソヒソ声だったり
遅刻して楽屋入りした時のカオリの困ってる様な顔だったり
後藤ばっかりがちやほやされてるのを見たりした時なんかに
それを感じる。

たかがアイドル如きが調子に乗ってドラマなんて出ちゃって悪かったね。
元メインだったからっていつまでもビップ気取りで遅刻しちゃってゴメンね。
後藤、いつまでもちやほやされてるとおもったら大間違いだからね。

口には出さない。
分かってる。
なっちは嫌な女だ。

本当はごっつぁんなんて呼びたくない。
本当はツートップ扱いなんかされたくない。
でも、歌番組なんかで絡まなきゃいけない時もある。
だからなっちは笑顔を作る。
作り笑いに見えるのは作り笑いだから。
作り笑いに見えるのは、本当は誰かに気付いて欲しいっていうなっちの甘え。

分かってる。
なっちは甘えてるだけなんだ。
人に言われんのはヤだから、自分で言う。
でも、頑張ってるなっちの事も、やっぱり気にかけて欲しいです。



23 :ナナシムスメ。:02/04/05 01:40 ID:INpbH1x/
なっちは孤独だ。
仕事が終わると誰よりも早くお疲れ様と告げる。
嫌われちゃうかもしれないけど、しょうがない。
もう嫌われてるのかもしれないけど。
真正面から向き合って嫌われるのはとってもショックだから。
だからなっちは斜に構える。
今日も一番に楽屋を後にして、こうして一人でタクシーを待っている。

一人になって、何も考えずに眠る事を想像しながら。
馬鹿みたい。
家についたら、またいつもみたいに考えすぎて眠れなくなるって分かってるのに。

分かってるのに…。
分かってることばっかりなのに。
何でなっちはうまくいかないんだろう。
何でなっちは一人きりなんだろう。

タクシーが来た。もうやめよう。
あたしは最後に、明日の孤独なドラマ収録に向けて溜息を一つついた。

乗り込んだ。
あとは行き先を告げるだけで帰れる。
何も考えずに。

と、思ってたのに。
タクシーは突然、行き先も聞かずに走り出した。



24 :ナナシムスメ。:02/04/05 01:42 ID:INpbH1x/

「…な!どこ行くんですか?」

あたしはびっくりして顔を上げた。
運転席にいたのは、青い…布…?誰よぉ?
運転手じゃない事は確かだ。さらわれる!?

「と、止めて、止めてよぉ!」

きぃっと音を立てて、タクシーはあっさりと止まった。
拍子抜けした。
何かのどっきりだろうか。だとしたら抗議してやる。徹底的に。
そんなあたしの怒りは、すぐに恐怖にとってかわった。

車が止まった場所は袋小路みたいになっていて。当然夜だから人気も無くて。
運転席の青い布から、手がこっちに伸びてきた…。

「ちょ、ちょっと、何ですか?」


25 :ナナシムスメ。:02/04/05 01:43 ID:INpbH1x/

「強盗や。見たら分かるやろ。」
「その声!裕ちゃん?驚かさないでよ!」
「あんな自分、そんな事で怒ったらあかんで。ゴメンやけど。」
「ゴメンやけどって、怒るよ普通!大体ここどこ?」
「あとな、自分勘違いしとるわ。うち裕ちゃんちゃうねん。」

そう言うと裕ちゃんは黙った。
青いシーツみたいなのを被ってて、確かに強盗みたいだった。
裾の辺りが焦げてる。
何のつもりなんだろう。はっきり言ってウザイ。

「何で運転してんの…何なのその格好?」
「よう聞いてくれた!ウチはな、二十二世紀から来た…」
「ゴメン」

遮ったのは疲れてたから。遊びに付き合う気分じゃない。

「あたしさ、ちょっと疲れてんだ…戻ればまだ中に皆いるからさ。」
「疲れてるて…関係ないやんか。それより説明の邪魔すなや自分。」
「関係ないってどうゆうこと!?」

あたしはわざと怒った声を出した。
裕ちゃんも遠慮してくれる筈だった。今までみたいに。



26 :ナナシムスメ。:02/04/05 01:44 ID:INpbH1x/
だけど、裕ちゃんは大袈裟な溜息をついて、

「あんな自分、強盗やゆうてるやんか。強盗がそないな都合聞いてくれるか?普通。」
「いやだからさ、ホント疲れてんだって。」
「よし!もう説明はええわ!とりあえず携帯よこさんかい!おとなしく出さんと…」

言葉を切るとにやっと笑って右手をかざす様に見せてきた。
握られているのは…拳銃?

「はぁ…ちょっと待ってよ。何のつもりなのこんな…」
「ええから携帯!そう!ちゃっちゃと出さんか!」

仕方ない。
あたしは携帯を渡すと、長引きそうな予感にうんざりした。
裕ちゃんはにやっと笑うと、あたしの手から携帯を奪い取った。

「よし、ええか、おとなしくしとれよ。逃げたら撃つでぇ?」

車を降りて、運転席のドアに寄りかかるようにすると、裕ちゃんは携帯をいじり出した。

とりあえず、あたしとしてはおとなしく強盗ごっこに付き合うつもりはない。
冷静になって考えたが、本当に撃つとも思えないし。
何より、早く帰りたい。あたしは携帯を捨てて逃げる事にした。

裕ちゃんの様子を窺う。どうやら携帯で何か探しているようだ。熱中している。
隙をついてこっそりドアを開けようとした。
…びくともしない。
窓越しに声が聞こえる。

「言い忘れたけどな。お巡りさんを見習ってな、内からは絶対開けへんねんこの車。窓も。」

あたしは唇を噛むと、ドアを蹴りつけた。
裕ちゃんはそ知らぬ顔で、あたしの携帯でどこかにかけ始めた。



27 :ナナシムスメ。:02/04/05 01:45 ID:INpbH1x/

「もしもし……なっちだけど…うん、ちょっと話あるからさ。」

びっくりした。
それはまるで裕ちゃんの声に聞こえなかった。
それはまるで…あたしの声。電波を通して聞くあたしの声。

「そう…角を曲がってさ、そしたらタクシー止まってるからさ。来てよ。」

誰にかけてるんだろう。怖くなった。
あたしそっくりな声。それにあたしの番号が通知されてるはず。
電話の向こうの相手を、勘違いさせる位簡単だろう。
裕ちゃんが電話を切ったのを見て、あたしは窓をどんどん叩いて呼んだ。

「ねぇ、誰か呼んでたでしょ。なっちの名前使って。」
「使った…声もやけどな。」
「ていうか誰にかけてたの?マジやめてよ!」
「すごいやろ?そっくりやったやろ?なぁどやった?」

その得意げな顔といったら、思わず殴りたくなるほどのものだった。
必死で言葉を噛み殺した。とりあえず従っておこう。早く終わらすんだ。

「…そっくりだったよ。ところでさ、誰呼んだの?それだけ…」
「おお、来よったで。」

フロントガラスの向こうには、一番見たくなかった姿があった。
何の警戒もせずに近付いて来る後藤に、躍りかかる青い影。



28 :ナナシムスメ。:02/04/05 01:46 ID:INpbH1x/

「おいコラァ!強盗や!動かんとけや!」
「あれ、裕ちゃん!?なっちは?何してんの?」
「裕ちゃんちゃうゆうてるやろが!」
「あ、あたしのシーツ!まだ使っててくれたんだ!」
「なんで半笑いやねん自分!強盗やご・う・と・う!ちょっとはビビれや!」

あの二人ってあんなに仲よかったっけ?
何で物事ってのはあたしの知らない内に何でも進むんだろう。いつからだ?

「ええから乗らんかい!」
「あれ?ぴすとるだ。本物なのコレ?」
「そんなもん内緒に決まっとるやろ!アホか自分!」
「ふ〜ん、アホとか言うんだ。いいのかなけーさつに言っちゃうよ?」
「何がやねんな…」
「あたしん家燃やしたの裕ちゃんだって。」

…燃やした?
そう言えば火事になったってのは聞いたけど。
何だか知らないが、裕ちゃんは怯むどころか怒鳴り始めた。

「アホか!?いやアホや!?どっちやねん!ええ加減にせぇ!」
「嘘だって、そんな怒んないでよ。あたしもう別に気にしてないしさ。」
「裕ちゃん違うゆうてるやろ!『Uえもん』や!」
「あ、そっちなんだ…。」



29 :ナナシムスメ。:02/04/05 01:46 ID:INpbH1x/
まるで質の悪い漫才みたいなやりとりに、ぽかんとしてたあたしはふと現実に戻った。
後藤なんて呼んで、一体どうするつもりなんだろう。
全く展開の読めない裕ちゃんの行動。

あたしにとっては最悪の展開となった。

「!」
「いや、乗ればいいんでしょ。」

ドアが開いて、後藤が乗ってきた。
あたしは逃げるのも忘れて、呆然としていた。

「あ、なっち。」

裕ちゃんはドアを閉めると、そのまま角の向こうに消えていった。



30 :ナナシムスメ。:02/04/05 01:47 ID:INpbH1x/
あたしは後藤が嫌いだ。後藤もきっと同じだろう。
仕事以外で口をきく事なんて数える程しかなかった。

あたしは後藤が苦手だ。後藤もきっと同じだろう。

あたしは後藤を見下してる。後藤もきっと同じだろう。

あたしは後藤に嫉妬してる。後藤は……。

二人きりの場をつなぐには、あたしは疲れすぎていた。
いつもの愛想笑いのかわりに
ネガティブな思考だけが頭の中で踊る。

あたしは今どんな顔をしてるんだろう。
そして、どんな顔をすればいいんだろう。
無言のまま、しばらく放心していた。



31 :ナナシムスメ。:02/04/05 01:48 ID:INpbH1x/
雰囲気から逃れるように、後藤がはしゃいだ口調で喋り出した。

「それにしてもさ、いつまで待たせんだろね。ちょっと喉乾いちゃったよ。
 ジュースでも買ってこよっか。自販機あるといいんだけどさ。なっち何飲む?」
「開かないんだってさ」

あたしは出来るだけ冷たい声を出した。
裕ちゃんが何を考えてるのか知らないが、こんな茶番に付き合わされるのは御免だ。
そんな気持ちを知ってか知らずか、更に後藤は続ける。

「そう言えばさ、なっち。話って何?」
「あれは裕ちゃんが、あたしの声色と携帯使っただけ。話とかは無い。」

説明しただけのつもりだったが、棘が刺さったようだ。さすがに後藤も黙り込んだ。
口をききたくない、とは思ったが、この沈黙は違う。
非常に気詰まりな種類の沈黙。しょうがない。ちょっと位の会話は。

「…そう言えば、さっき何か言ってたけど。家、燃やしたとか。」
「そ〜なんだよねぇ。裕ちゃん、じゃないやUえもんだっけ?どっちにしてもゆうちゃんだ。」
「どっちだっていいから。」
「そうだよね。」

後藤は続けようとしたみたいだが、あたしの視線がよそを向いているのに気付いて諦めたようだ。
あたしはずっと、裕ちゃんが去って行った角を見つめていた。裕ちゃんを待っていた。
悪い夢。早くおわればいいのに。


32 :ナナシムスメ。:02/04/05 01:49 ID:INpbH1x/
どれくらいそうしていただろうか。
あたしは横目でぼーっとしている後藤を見た。


愛されてる後藤。
よその現場でも、きっとうまくやってるんだろう。幸せそうな顔ばっかりが頭をよぎる。
そのくせ独りでも平気だ、って顔。
あたしはどうだろう。嫉妬しているだけの、孤独な悲劇のヒロイン。
後藤がこっちを向いた。目が合ってしまった。しかたなくあたしは口を開いた。

「で、どしたって?さっきの続き。」
「あ、そうそう。何かこないだいきなり部屋いてさ。どっから入ったの?とかっつっても教えてくんなくて。
 で、助けたる!とかゆってライターばぁって投げて、カーテンに燃え移って全焼。って感じだった。」
「…ごめん、意味わかんない。」

聞きながら、あたしはおかしな事に気が付いた。
いつから後藤はこんなに、裕ちゃんの事を嬉しそうに喋るようになったんだろう。
家を燃やされたっていうのに。この表情。まるで感謝しているかのような口ぶり──。
なんだかとっても苛々した。なぜだろう。
吐き捨てる様に呟いた。

「ねぇ、なんでそんな楽しそうなわけ?普通むかつくっしょ。」
「そーなんだけどさ。それであたし…何か照れるな。」

後藤はちょっと口篭もると、まるで独り言を言うかのように言葉を重ねていった。

「いや、あたしさ、独りっきりって苦手、ていうか、実は寂しいのとかヤでさ。」
「最近とかたまに、一人の仕事とかあって、ドラマとかって結構、ほら、寂しくなる時あんじゃん?」
「だからさ、家でも一人で、ってのがイヤでさ。でもさ……。」

照れ笑いの中で繰り広げられたその独白は、あたしの心に大きな楔を打ち込んだ。
大きな、あったかい楔だった。


33 :ナナシムスメ。:02/04/05 01:49 ID:INpbH1x/
あたしもだよ、って言葉を、何回のみこんだだろう。
馬鹿にしながら聞いていた筈のあたしは、いつのまにか全ての感情に共感していた。
見下しあっていた筈の二人は、こんなに似ていた。

大事なことを思い出した気がする。
痛いのも、寂しいのも、みんなみんな一緒だって。

他ならぬ後藤がそうなら安心できた。
独りじゃないって事で、あたしはこんなに安心できた。


裕ちゃんはいつまで経っても戻ってこなかったし、助けてくれそうな人も通らなかった。
あたしもいつのまにか出ようとする気持ちを無くしていたみたいだった。
気付くとあたし達の話は途切れることが無くなっていた。
決して歩み寄れなかった筈の二人だから、二人の話は尽きなかった。

あたしは、この日初めて独りじゃなくなった。




34 :ナナシムスメ。:02/04/05 01:51 ID:INpbH1x/

「あ〜あ、ドラマあるんだよね明日。行けなかったらどーしよ。」
「そしたら言えばいいじゃん。」
「何て?」
「青いシーツ被った強盗に…」
「襲われましたって?」

あたし達はまた笑った。
さっきから笑ってばっかりだ。

「強盗ってゆってたけど、何強盗なんだろね。」
「ね〜。こないだはお化けとかゆってた。」
「一体何がしたいんだろうね?目的がわかんないよ。」

あたしはまた笑った。
でも、後藤は笑っていなかった。真剣な顔で。

「きっと裕ちゃんはね。」

何だろう。

「なっちを助けに来たんだよ。」


35 :ナナシムスメ。:02/04/05 01:52 ID:INpbH1x/
全く意味は分からなかったけど、そう言うと後藤はとっても楽しそうに笑った。
そして、その横顔を照らすかのように光が射した。
朝になったみたいだ。

「あぁ…朝日…昇っちゃったよ。」
「昇っちゃったかぁ…。許せないね。」
「こっから出たらふくしゅーしようよ。」
「ふくしゅーね。いいね。なっち考えとくよ。」

こんな明るい気分で朝を迎えたのはいつ以来だろう。
憂鬱で仕方なかった筈の収録も、今なら乗りきれる気がした。簡単に。
まぁ、行けそうにないんだけどね。今んとこ。

皮肉なもんだね。前向きにやれそうだって思えた時がこんななんて。
でも、全然不安じゃないし。これがほんとの前向きって奴なんだね。
あたしは、それを教えてくれた先生に感謝した。
先生は、運転席でなにかごそごそしていた。

「ってゆうかさ、コレもしかしたら開くんじゃん?」

その言葉と同時に、運転席のドアががちゃっと音を立てて開いた。


36 :ナナシムスメ。:02/04/05 01:52 ID:INpbH1x/
あたし達は笑った。
明け方の住宅街に、目覚ましよりもけたたましい笑い声が響いた。
涙がでる程笑って、顔を見合わせてまた笑った。

「やっと出れた!」
「あぁ!?携帯落ちてるよ!」
「やっぱ置き去りにされてたんだ!ちくしょぉ!」
「見てよ、もうすぐ六時だって、何時間いたんだよぉ!」
「なっちたちバカみたいじゃん!」
「バカみたいだったねぇ〜。」
「あれ?」

なんとなく、なんとなくだけど思った。
もしかしたら後藤は最初から気付いていたのかもしれない。

思い返せば、後藤は一度も車から出ようとしてなかった。
そして…まぁ、どうでもいいか。

37 :ナナシムスメ。:02/04/05 01:53 ID:INpbH1x/
まったく、何だったんだろ。
裕ちゃんも裕ちゃんだし、後藤も後藤だ。
こんな茶番に付き合わしてさ。
お蔭で眠れなかったし、お腹も空いたしで、お風呂だって…。

「どしたの?なっち。やっぱ怒りが込み上げてきた?ふくしゅー思いついた?」

ふくしゅーには賛成。
全然怒ってないけどね。
だって茶番に付き合ってもらってたのは、多分こっちの方だったからね。

あたしは、最後にもう一度大きく笑った。
空はとっても眩しかった。




38 :名無し娘。:02/04/05 01:55 ID:INpbH1x/
今回はこんな調子ですが。
雰囲気は、主人公によって変わります。

39 :名無し募集中。。。:02/04/05 03:29 ID:EWZC+1Da
勝手に紹介しちゃったけどおーけ?

( #T.∀T)<ジーンとしちゃったわよ!

40 :名無しさん:02/04/05 10:37 ID:1uW5l2PS
紹介されて見に来ました。
それぞれのキャラが良く出てて面白いです。
次も期待してます。


41 : ◆KOSINeo. :02/04/06 00:33 ID:8zsh5ykr
>作者さん
小説総合スレッドで更新情報掲載しても良いですか?
http://tv.2ch.net/test/read.cgi/ainotane/1013040825/
紹介されてやってきました。こういう話好きです。

42 :ななしむすめ。:02/04/06 05:24 ID:oMgvcKR/
あ、レス。
>>39
おーけ。( `.∀´)ヤッスーありがとう
>>40
期待してくれてありがとう。
>>41
いつもご苦労様です。お願いします。わざわざありがとう。

今夜か、明日中には続き行くよ。多分。

43 :ななしむすめ。:02/04/07 04:11 ID:uBZFgTxg

第三話

『取り留めのない言葉』


44 :ななしむすめ。:02/04/07 04:11 ID:uBZFgTxg

『ねぇ見て見て!圭ちゃんのコート!』
『うわ、すげぇ!野獣みたいだよ!うわぁ!』
『何よアンタ達!言い過ぎでしょ!』

──サブちゃん、似合ってるよ。

『リーダー。優しいねぇ。イヤミじゃないよね?』
『ていうかさ、飯田さんちょっと着てみてよ。』
『うん…カオリが着たら似合う気がする。』

──え…ちょっと。

『うわぁ、かっけぇ…。』
『すごいカオリ、やっぱスタイルいいわ…。』
『悔しいわね…。』

──あ…。


45 :ななしむすめ。:02/04/07 04:12 ID:uBZFgTxg

『いいらさ〜ん、あそんでよぉ。』
『こら、辻!あんたまた何か食べてたでしょ!?』
『まぁまぁいいじゃないですか、やぐちさ〜ん。』
『加護もだよ!もう。カオリからもなんか言ってやってよ!』

──あんまりね、お菓子ばっか食べてるとね…。

『さっきたべたのおかしじゃないもん!』
『そーゆー問題じゃねぇだろ!ほら、リーダーの話だぞ!ちゃんと聞け!』
『こっちのリーダーはおこったりしませんよ。やぐちさんと違ってね。』

───カオリだってねぇ、たまには怒るよ。

『ごめんなさい…。』
『いや、別に、こいつらもそこまで悪気があったわけじゃないんだよ。』
『いいすぎました。すいません。』

──あれ…?


46 :ななしむすめ。:02/04/07 04:13 ID:uBZFgTxg

移動中のバスの中で、いつのまにか夢を見ていたらしい。
考え事をしてたら眠ってしまってた。いつもの事だけどさ。

寝起きで霞んだ視界を満開の桜が掠めた。
窓を流れる景色からでは、目を楽しませてくれるまでにはいかないけど…。
それでも春の訪れと、それに伴うある種の喜び──と呼べるかな──は感じる事ができる。

いつかテレビで紗耶香が言っていた。忙しすぎて季節を感じる余裕さえ無い生活、って。
だけど、感じ方は人それぞれだし、少なくとも今日のあたしは「春」を感じた。
窓からあたたかに射し込む、日射しは何だかとっても優しくて、あたしは浴びる様に顔を向けると
目を細めた。

「まぁたいいださんがぼぉっとしてる。梨華ちゃんつっついてみてよ。」
「しっ!飯田さんは交信中だから、邪魔しちゃ駄目でしょ!」

加護と…石川だ。そっか。バス乗ってたんだっけ。
そうだ、タンポポで仕事があったんだ。…今からあるんだっけ?
矢口もいるはずだね…寝てるみたい。まぁいいや。

何だか嬉しくなったあたしは、この喜びを伝える事にした。

「ねぇ、加護、石川。春ってさ…………」



47 :ななしむすめ。:02/04/07 04:38 ID:HyYBcS+i

難しく考える事なんて何もない。
なのにどうしてこの二人は、眉間にシワを寄せてまで考え込んでるんだろう。
大体、そんな顔してちゃ駄目でしょ。アイドルなんだから。

アイドル…。国民的アイドル。誰がここまで来るって思った?
あたし達は国民的エンターティナー集団。
ドラマ、バラエティ、映画、ミュージカル…今や仕事はきりがない位。
国民のみんなが、あたし達によるエンターテインメントを楽しんでくれてる……?

歌は…?どこ行っちゃったの?

「あぁ…眩しいな…。何、まだ着かないの?」

人の気も知らないのんびりした声。矢口、それでいいの?
あたし達は、アーティストじゃなかったの?歌う事が好きで集まったんじゃなかったの?

何だか怒りを覚えたあたしは、この憤りをぶつける事にした。

「ねぇ、矢口。あたし達ってさ…………」




48 :ななしむすめ。:02/04/07 04:38 ID:HyYBcS+i

人間って、そんなまたすぐに眠れるもんだろうか。矢口を見てるといつもそう思う。
余程疲れているんだろう。いびきまでかきだした。かわいそうに。

考えた事が無い訳じゃない。考えてもきりがないから考えない様にしてる。
だけど、大切な仲間がこんなにぼろぼろになってるのを見るとどうしても思い出してしまう。
あたし達は、このまま使い捨てられていくんじゃないかって。擦り減って無くなるまで。

だけど、あたしはこの道を降りられない。
あたしはまだ好きな空を目指している。

特別でありたい、という気持ちはあたしの中では多分すごく大きな物だから。
終わりを想えば悲しいけど、始まりの喜びだって忘れてないから。

何だか切なくなったあたしは、この決意を表明する事にした。



49 :ななしむすめ。:02/04/07 04:39 ID:HyYBcS+i

「ねぇ、矢口…」
「がぁー。ぐぁー。」

そっか、寝てたんだよね。心なしかいびきが大きくなったみたい。
それにしても、いびきで返事なんて……。やだ、マンガみたい。ウケる。

「ねぇ、加護…」
「♪」

あ、ウォークマン聴いてたんだ。いつの間にって感じ。
それじゃ呼んだって聞こえないよね。それにしてもすごい音洩れだね。

「ねぇ、石川…あれ?気分でも悪いの?」

どうしたんだろう。顔が真っ青だ。もしかして石川も疲れてるの?
眉を八の字にして首をぶんぶんと振るその姿は、何だか…笑っちゃいそう。
どうしたんだろう。今度は加護の服掴んで揺すってる。
でも加護は気付いてないみたいだ。ノリノリだね。加護。

「石川、大丈夫?無理しちゃダメだよ。カオリも昔ね……」
「いえ…あ!飯田さん、着いたみたいですよぉ!みんなも!」


50 :ななしむすめ。:02/04/07 04:39 ID:HyYBcS+i

矢口…。眠るのも早かったけど。起きるのも早いね。
加護…。ノリノリだった割には随分反応いいね。若いからかなやっぱ。
石川…っていつの間にバス降りたの?

「よし!仕事だ!いくぞ加護ぉ!」
「おやびん!いきましょぉ!頑張るぴょん!」

珍しいね、プライベートで「ぴょん」とか使うの。
でもさ、ちょっと待ってよ、カオリまだ荷物しまってなくてさ…。
あぁ、降りちゃった。リーダーを置いてくなんてメンバー失格だね。あとでお説教決定。
さて、カオリも急がなきゃさ…。あ。

誰かバス乗ってきた。誰だろ。

ねぇ、ちょっと待ってよ。みんなさぁ…。


51 :ななしむすめ。:02/04/07 04:47 ID:L71Hz3XR

「おっと、降ろす訳にはいかんな。残念やったな!」

うわぁ、何か青いの被ってる。ファンの人かな。ていうか何で誰もいないの?

「といっても心配はいらんで自分。ウチはな、どっちかって言うと助けに来とんねん。」

オンナのヒト。あんな格好で恥ずかしくないのかな。カオリだったら…ちょっとやってみたいかも。

「言っとくけど大声出しても無駄やで。ここにはもう誰も来ぃひんからな。」

でもさ、企画とかでやらされるんだったら開き直れるからいいけど、プライベートだったらねぇ…。

「ウチは!二十二世紀から来た!…ってちょっと聞いてますか?」

でも、モーニング娘。のリーダーが、いきなりこんな格好してたらやっぱりうけるよね。

「なぁ、自分わかっててやってるやろ?頼むわ、放置だけはあかんて…。」


52 :ななしむすめ。:02/04/07 04:47 ID:L71Hz3XR

「オトコのヒトだったらぎゃーって言ってたけど、オンナのヒトみたいだったからさ。」
「…まぁええわ。それよりな。ウチはな…。」
「ストップ!当てるから!」
「当てるて…。」

えぇと、関西弁で、オンナノヒトで、青い服で、青い服……?。

「妖精さん?」
「うわぁ、マジやな自分きっついわ…。」

違うのかな。あとヒントは…助けに来てる……?

「あ、そうだ!助けてくれるんだよね!」
「せや!悩みとかあるんやったら早よゆうてくれや!助かるわ。」

悩み。そうだ。そう言えば。

「何かね、ちょっとずれてるの。」
「あぁ、分かるわ。それめっちゃよう分かる。確かにずれとる。」
「みんなが。」


53 :ななしむすめ。:02/04/07 04:48 ID:L71Hz3XR
「何かカオリの言ってる事とかがあんま伝わんないみたいなの。」
「みんなが…ずれとると。そうおっしゃるわけやね…。」
「そうなの例えばね、あたしがすっごい打ち解けた感じで、ギャグとか言うじゃない?
 ミーティングが緊迫してる時とかさ。すっごいとげとげしい感じで。笑わさなきゃ、って思って。
 誰だってさ、楽しく仕事したいじゃん?…でもね、みんな何か引いちゃうの。新しい子たちなんか特に。」
「そら引くわ…いや、そら大変やね…。」
「でもね、それはナメられてないってことだから、カオ的にはおーけー。わかる?」
「あぁ…そうなんや…。」
「やっぱリーダーとしてさ、ナメられちゃダメなのよ。だけどね……」
「もぉええわ!日が暮れるっちゅーねん!」

何で怒ってんだろ。
第一、日が暮れるのはフクロウが…。

「要約するで、ずれとんのやろ?ほしたら、直しといたるわ!」




54 :ななしむすめ。:02/04/07 04:48 ID:L71Hz3XR

……いつのまにか夢を見ていたらしい。
考え事をしてたら眠ってしまってた。いつもの事だけどさ。

寝起きで霞んだ視界を満開の桜が掠めた。
窓を流れる景色からでは、目を楽しませてくれるまでにはいかないけど…。
それでも春の訪れと、それに伴うある種の喜び──と呼べるかな──は感じる事ができる。

いつかテレビで紗耶香が…ってあれ?

「まぁたいいださんがぼぉっとしてる。梨華ちゃんつっついてみてよ。」
「しっ!飯田さんは交信中だから、邪魔しちゃ駄目でしょ!」

何だろう、この感じ。今までに無いこの感じ。
窓から射し込む光すら既にどっかで見た事あるような…?

…それにしても陽射しが優しいな。やっぱ春っていいよね……。よし。

「ねぇ、加護、石川。春ってさ………」

55 :ななしむすめ。:02/04/07 04:56 ID:L71Hz3XR

「そうですよねぇ…ええなぁ、春は…。」
「すっごいわかります!石川もそぉ思ってました。」
「でしょお?」

同じ喜びを、同じく分かち合えるってゆうのは何ていい事なんだろう。
やだ、ちょっと涙ぐんじゃいそう。

仲がイイってのはいい事だよね。ホントに。
ね、加護。年なんて関係ないよね。チームワークが売りだもん、ウチ等はさ。
ね、石川。あたし達は少数精鋭で…精鋭?ちょっと待って石川!

歌唱力も無いのに精鋭だなんて!
歌も歌えないエンターティナーなんて!
そんなの、ただのピエロじゃない!?

「あぁ…眩しいな…。何、まだ着かないの?」

矢口、答えて。あたし達は…。

「ねぇ、矢口。あたし達ってさ………」


56 :ななしむすめ。:02/04/07 04:56 ID:L71Hz3XR

「カオリ、それは違うよ。ウチ等はアイドルでも、エンターティナーでも無い、
 勿論ただのピエロなんかでもない。アーティストでも無いけどね。」
「だったらさ、矢口は何だと思うの?」
「モーニング娘。だよ。」
「そうですよぉいいださん。モーニング娘。じゃないですかぁ。」
「石川もそう思ってました!モーニング娘。ですよ!」

ああ、皆分かってくれてたんだ…。カオリ嬉しいよ…。

「カオリもあんまり心配しなくていいんだよ…」
『ちょっと、来ないと思ったら…』

──矢口、ありがとう…。

「リーダーはやっぱおとなだなぁ…」
「尊敬します!」
『うわ、完全に寝てますね。大丈夫かなぁ…。』

──加護、石川、ありがとう……

『ち、ちょっと、かおりぃ…。起きてよぉ…。』
『いいださぁん…。』

──みんなありが…あれ?何だよぉ…



57 :ななしむすめ。:02/04/07 04:57 ID:L71Hz3XR
「飯田さん!!起きて下さい!」

……いつのまにか夢を見ていたらしい。
考え事をしてたら…ってどっからどこまで夢なの?
ちょっと石川、揺らしすぎ。

「起きた!カオリ、着いたよ。仕事行くよ!」
「矢口…。あたし達ってさ…。モーニング娘。だよね…?」
「うわ、寝ぼけてるよ。いいから早く!」
「はるですねぇ…。」
「そうなの!加護、春っていいよね!石川も!」
「いいですよね…どうでも。」
「そろそろ出た方がいいと思います!」


58 :ななしむすめ。:02/04/07 04:57 ID:L71Hz3XR

何て事だろう。
それに何て儚いんだ。人の夢って。やだ、カオリって詩人。

それにしても、結局伝えられてなかったって事ね…。
みんなに感謝した自分が何だかかわいそうで、でも…。

「あ、ちょっと。」

あたしを引っ張って歩き出そうとする矢口。

「みんなさ、心配してくれたんだよね。」

不思議そうに頷く石川。

「ありがとう。」

照れたみたいに顔を逸らす加護。

夢でもいいんだ。ひとつ伝えられたから。
だから、妖精さんにも。
ありがとう。



59 :名無し娘。:02/04/07 05:09 ID:L71Hz3XR
…こんな調子でした。

60 : ◆AMDrSSEY :02/04/07 13:59 ID:1EDZ4BSV
良スレの予感

61 :名無し募集中。。。:02/04/08 04:33 ID:2bPLl0lP
禿同

62 ::02/04/08 08:07 ID:4jAFnZ84
禿同記念

63 :ななしで:02/04/08 17:06 ID:oigbCHVD
(・∀・)イイ ! ですね〜

64 :ななしむすめ。:02/04/10 01:41 ID:Q8PRzwvv
好感触ありがとう。

今夜か、少なくとも木曜中に続き行くよ、多分。

65 :チャ―ミー:02/04/10 10:32 ID:QL4lMoy/
   〜ノノハヽ〜
 ヒュン  \ (メ^▽^)<・・・ほぜん
     ((   O    Oy-~~ 
ヒュン ((  O(    ) 
      /  し'(_ノ

66 :名無し募集中。。。 :02/04/10 20:10 ID:lrjTr0Ob
ところで題とかないんでしょうか?

67 :名無し募集中。。。:02/04/11 18:23 ID:Wrz33nuV
俺も知りたい>題名

68 :z:02/04/11 19:09 ID:DN8JDD43
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!




69 : :02/04/11 22:00 ID:F4UiZxQr


70 :名無し娘。:02/04/11 23:14 ID:GSe1ZOvp
ヽ(`Д´)ノ

71 :名無し娘。:02/04/11 23:14 ID:GSe1ZOvp

第四話

『毎晩二人、溜息ばかり。』


72 :名無し娘。:02/04/11 23:15 ID:GSe1ZOvp

「あいぼん」
「ん?」
「やせないねぇ」
「やせない。」

「あいぼんこないだまたおこられてなかった?」
「マネージャーな。やせられないのは〜しょうがないけど〜」
「あぁののもおんなじこといわれた」
「せやろあいつおんなしことばっかゆうねん」
「ふとってくのはなんとかしてとめないと、って」

「そんなことゆわれたってなぁ」
「ねぇ」
「うちらのせいじゃないもんなぁ」
「そう…だよね!あいぼん!」
「ん?」
「おかしがあるからわるいんだぁ!」
「はぁ…ののはこどもだなぁ」


73 :名無し娘。:02/04/11 23:16 ID:GSe1ZOvp

「あんまゆってるとなぁ」
「やぐちさんとかにきかれるとねぇ」
「そういやふたりだけってひさしぶりかも」
「いそがしいよねさいきん」
「うえもしたもおるとつかれるわぁ」
「おばちゃんみたいだよ」
「それはゆうな」

「それにしてもいつまでまたせんだろ」
「しゅうろくはじまんのもうちょっとかかるってさっきいってたし」
「こんなじかんがもったいないなぁ」
「あ、ノック。だれかきたみたいだよ」
「いがいとはやかったねぇ」
「どぉぞ〜」


74 :名無し娘。:02/04/11 23:17 ID:GSe1ZOvp

「毎度ぉ〜Uえもんやでぇ〜。二十二世紀から助けに来たでぇ〜。」
「あ、なかざわさん、おはようございます。」
「やぐちさんとかならきょうはべつですよ。」
「いや、早いわ自分。まぁ自分等に説明しきろうとも思っとらんからええけど。」
「どしたんですかそのかっこう?」
「だめだよあいぼん、ひとのふぁっしょんをそんな。」
「…まぁ自分等に説明しきろうとも思っとらんからええけど。」

「ただし!…えぇか、ウチは『中澤さん』ちゃうねん。『Uえもん』が正解です。さぁゆうてみ?」
「みそじぃ。」
「おばちゃん。」
「しかし、自分等やっぱかわいいな…。しかも笑いってもんをわかっとる。」
「てへへ」
「ありぁとーございますっ!」
「まぁ、とりあえずしばくけどな。」


75 :名無し娘。:02/04/11 23:19 ID:GSe1ZOvp

「いたーい」
「いたいよぅ」
「まぁええ、自分等の為にな、今日はええもん持ってきた。裕ちゃん頑張ったでぇ。」
「ほんとに!?」
「あぁさっきたべんじゃなかった」
「食い物ちゃうわ!お前等そればっかやないか!」

『体重計レボリューション22!!』

「なんだコレ?」
「たいじゅうけいだよ、きっと。」
「正解や…って今思いっきり言うたやん。」
「ていうか、かごもってますよ」
「ののも」
「いやいや、普通の体重計に見えるやろ?実はちょっとちゃうねん。」


76 :名無し娘。:02/04/11 23:20 ID:GSe1ZOvp

「これはな、どうしても痩せたい人の為に開発されたもんでな。
 本人のデータをここに入力してやね、乗るとここが揺れ出すわけや。
 余分な体脂肪とか付き過ぎた筋肉なんかを落としてくれる、ちゅー代物やで。」
「ふーん」
「タイシボウ?」
「…説明はええか。ちょっと乗ってみ?…いや、どっちからでもええて。二つあるがな。」

「あれあれ?」
「うおぉぉ」
「そうそう、これをこなす事によってな、測りながら痩せられるわけや!
 な。普通の体重計?全然ちゃうやろ!これがハイテクちゅーやっちゃ。」
「あぁあぁあぁあぁ」
「こぇがふるぇるぅ」
「どや!すごいやろ?自分等にぴったりや、まさに体重計の針に痩せる思いやでぇ!」


77 :名無し娘。:02/04/11 23:21 ID:GSe1ZOvp

「大体十分くらいで測り終わるからな…ちょっとの辛抱やで…て降りてもうとるやないか!」
「つかれた」
「よっちゃった」
「そんな事でええ思うとるんか?」
「なんかあれみたい、つうはんの」
「なんだっけアブなんとか」
「その先はゆうたらあかん!裕ちゃん怒るで!」

「大体子供が深夜番組なんか見たらあかん!」
「だってねぇ」
「なぁ」
「なんや、自分等子供ちゃうゆうんか?」
「えむのもくしろくとか」
「はろーらんどもはじまるし」


78 :名無し娘。:02/04/11 23:23 ID:GSe1ZOvp

「……だいじょぶですか?」
「うわぁおばちゃんくしゃくしゃだぁ」
「誰が…くしゃおばちゃんやねん…」
「いってないれすよ」
「ハンカチ」
「ありがとなぁ…。」

「まだゆれてる…スイッチどこですかぁ?」
「うわぁとまんないよ」
「そんなガンガン叩いたらあかんて…。」

「あぁあぁあぁあぁ」
「あごだけのっけるのもいいよね」
「いや、おもちゃちゃうねんから…。」

「あいぼんこれ、こうすればいいんだよ」
「そやな、はねとったらよわないなぁ」
「そんなドンドン跳ねたら壊れるて…。」


79 :名無し娘。:02/04/11 23:24 ID:GSe1ZOvp

「わぁ、みてみてあいぼん!65キロ!」
「うわ!やらしてやらして!ウチもめっちゃ出したい!」
「いや、ちゃんと測れてへんやん…。」
「ふぉお!」
「ふぁあ!」
「何やろな…この倦怠感は…。まぁええか。頑張るんやで!」

「いっちゃった。」
「おもしろいねぇ〜」
「なぁ、のの…。」
「ん?」
「やせたい?」
「じぇんじぇん」
「まぁええか。」
「うん!」



80 :名無し娘。:02/04/11 23:26 ID:GSe1ZOvp
こんなちょうしでしたよみづらかったらゴメン
ほぜんありがとうそのほかのレスもみんなありがとう
だいめいはかんがえとくんでちょっとまってて

81 :名無し募集中。。。:02/04/12 02:27 ID:4NjHkVyo
(・∀・)イイ !ね。
UNICORNマンセーとか言ってみる。

82 :名無し:02/04/12 12:04 ID:xzF0jZlr
>「あぁあぁあぁあぁ」
>「あごだけのっけるのもいいよね」
>「いや、おもちゃちゃうねんから…。」

サイコー

83 : :02/04/13 06:48 ID:SIJcJKIM
てす

84 :名無し募集中。。。:02/04/13 13:17 ID:fm8DcKNs
面白い。保全しとく。

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